第二新卒エージェントとは何か
第二新卒エージェントとは、社会人経験が浅い若手層を主な対象とした転職支援サービスです。
ここで先に断っておくと、「第二新卒」に統一された定義はありません。「卒業後おおむね3年以内」を目安にすることが多いのですが、対象年齢や必要な就業期間はサービスごとに違います。「25歳まで」のところもあれば「29歳まで」のところもあり、就業経験を問わないところもあります。自分が対象に入るかどうかは、登録前に各サービスの条件を確認してください。
もうひとつ紛らわしいのが、第二新卒向けを掲げるサービスの多くが、既卒(卒業後に就職していない人)やフリーターも同時に扱っていることです。これは「第二新卒=実務経験を問わない」という意味ではなく、若手という括りで複数の層をまとめて支援している、という話です。同じサービスでも、あなたが第二新卒として扱われるか既卒として扱われるかで、紹介される求人は変わります。
一般的な中途向けエージェントとの違いは、求められる実務経験の水準が緩やかな求人を多く扱うこと、経験年数より意欲や基礎力を見る企業とのつながりが多いこと、そして対象となる求人が若手のポテンシャル採用に積極的な企業に偏りやすいことです。ただしこれは傾向の話で、私が見ている範囲での印象を含みます。
エージェントが担っている役割
エージェントは、求職者と企業の間に立ち、双方の希望条件をすり合わせる役割を担っています。求人紹介のほか、書類作成のサポート、面接日程の調整、条件交渉の代行などを行っている場合があります。どこまで対応してくれるかはサービスと担当者によって違うので、期待している支援があるなら初回面談で確認してください。
書類の添削についても、応募者本人が気づきにくい表現の癖や、読む側にとって伝わりにくい構成を指摘してもらえる点は、独学で書類を作るより有利に働くことがあります。人事側の視点から見ても、エージェント経由の書類は基本的な構成が整っていることが多く、内容そのものに集中しやすいという印象を持たれやすい傾向があります。
メリット
- 非公開求人を含め、自分だけでは見つけにくい求人にアクセスできる
- 書類添削や面接対策など、選考準備の負担を分担できる
- 条件交渉を代行してもらえるため、自分で言い出しにくい部分を任せられる
- 選考スケジュールの調整をエージェントが担うため、在職中でも動きやすい
デメリット・注意点
一方で、エージェントの利用には注意しておくべき点もあります。
第一に、お金の流れを押さえておいてください。一般的な成功報酬型では、紹介した人が入社したときに企業から報酬が支払われます。だから求職者は無料で使えます。ここまでは健全な仕組みです。ただし同じ構造から、次のことも導かれます。報酬は入社が成立して初めて発生するので、担当者には「決めてほしい」という動機が常にある。そして報酬額は年収に連動することが多いため、紹介の優先順位が、あなたの希望と完全には一致しない場合があるということです。すべての担当者がそうだとは言いません。ただ、この構造は知っておいたほうがいい。
第二に、エージェントが紹介する求人は、そのエージェントと提携関係にある企業に限られます。市場に出ている求人の全体像を見ているわけではないため、複数のエージェントを併用したり、直接応募と組み合わせたりして情報を補うことが望ましいです。
第三に、担当者との相性によって、提案の質や親身さに差が出ることがあります。最初の担当者と合わないと感じた場合は、担当変更を申し出ることも一つの選択肢です。
初回面談で、こちらから確認すること
面談は「見られる場」だと思われがちですが、こちらが相手を見る場でもあります。次を聞いてください。答え方で、その担当者と付き合うかどうかが判断できます。
- 「私の経歴だと、どんな職種・業界の求人を紹介できますか」——具体的に答えられない担当は、あなたの経歴に合う求人を持っていない可能性があります
- 「対応している勤務地と雇用形態を教えてください」——地方在住なら特に。紹介できる範囲が首都圏だけ、ということもあります
- 「企業に推薦するとき、私のどんな情報を渡しますか」——推薦文そのものは社内方針で見せない場合もありますが、どんな種類の情報が渡るのか、こちらの同意を取ってから応募するのかは必ず確認してください
- 「連絡は何で、どのくらいの頻度になりますか」——在職中なら特に。電話が日中に頻繁にかかってくる運用だと続きません
- 「応募を見送りたいとき、どう伝えればいいですか」——断り方を最初に確認しておくと、後で言い出しやすくなります
- 「利用をやめたいときの手続きを教えてください」——退会や登録情報の削除の方法。ここを嫌がる相手は、そもそも警戒したほうがいい
この対応が出たら、距離を置く
逆に、次のような対応が出たら、担当変更を申し出るか、そのサービスを使うのをやめる判断材料になります。
- 希望していない業界・職種の求人を、理由の説明もなく次々に勧めてくる
- 求人票について質問しても、明確に答えず「まず応募してみましょう」と言う
- 本人の同意を取らずに、企業へ応募を進めている
- 内定後に「今日中に返事を」「他社は辞退してください」と急かす
- 他社のエージェントを使っていることを伝えると、露骨に態度が変わる
内定の回答期限は、企業の採用状況や入社希望日、他の候補者との調整によって変わります。短い期限がついたこと自体が不当とは限りません。疑うべきは期限の長さではなく、説明の有無です。「なぜその期限なのか」を聞いて納得できる説明があるなら普通の話。説明がないまま即答を求められたり、他社の辞退を先に求められたりする場合は、あなたの都合より成約が優先されている可能性があります。そのときは「◯日までに回答します」と、必要な検討時間を自分から具体的に伝えてください。
複数のエージェントを使うときの注意
複数登録は珍しくありませんし、比較のためには有効です。ただし管理を怠ると事故が起きます。いちばん多いのが、同じ企業への重複応募です。
企業側から見ると、A社経由とB社経由で同じ人の応募が届くことになります。企業は混乱しますし、紹介料をどちらに払うかという問題も発生します。扱いは企業やエージェントの取り決めによりますが、選考が止まったり、調整の間に時間を失ったりするリスクがあります。あなたに落ち度がなくても、そうなり得るということです。
防ぐ方法は単純です。
- 応募した(推薦された)企業名を、一覧で自分で管理する
- エージェントから求人を提案されたら、応募する前に必ず企業名を確認する(社名を伏せて提案してくる場合は、応募前に開示を求める)
- すでに他経路で応募済みなら、その場で伝える
- 求人サイトからの直接応募も、同じ一覧に入れておく
どんな人に向いていて、どんな人には向かないか
エージェントの利用が向いているのは、在職中で活動時間を確保しにくい人、書類作成や面接対策に不慣れで伴走してほしい人、条件交渉を自分で切り出しにくい人です。
一方で、すでに志望企業が明確に決まっている人にとっては、エージェント経由が必ずしも最短ルートとは限りません。その企業が自社サイトでの応募を指定している場合もありますし、そもそもそのエージェントの取扱先でなければ紹介されません。狙う企業が決まっているなら、まずその企業の採用ページを見て、指定された応募方法を確認してください。(「直接応募のほうが評価される業界がある」という話も聞きますが、私はそれを裏づける根拠を持っていません。確かなのは、企業が指定する経路に従うこと、それだけです。)
また、担当者に手厚くサポートしてもらうこと自体を目的化してしまうと、自分の判断軸があいまいなまま選考が進んでしまうこともあるため注意が必要です。
エージェントを選ぶときに見ておきたい点
エージェントごとに、得意な業界・職種、対応している企業の層、担当者の関わり方には違いがあります。選ぶ際に確認しておきたい点をいくつか挙げます。
まず、自分が検討している業界・職種に対する紹介実績があるかどうかです。総合型のエージェントは求人の幅が広い一方、特定分野への専門性は薄くなりやすい傾向があります。逆に特化型のエージェントは、対象となる業界・職種であれば深い情報を持っていることが多いです。
次に、担当者とのやり取りの中で、こちらの希望をどれだけ丁寧にヒアリングしてくれるかも判断材料になります。初回の面談で、条件面だけでなく「なぜ転職を考えているか」「何を優先したいか」まで踏み込んで聞いてくれるかどうかは、その後の提案の質にも関わってきます。
複数のエージェントに登録すること自体は珍しくありません。1社に絞る必要はなく、比較しながら自分に合う担当者・サービスを見極めるという使い方も現実的です。
利用の流れの一般的なイメージ
エージェントの利用は、おおむね登録、面談、求人紹介、書類・面接対策、選考、内定後の条件調整という流れで進みます。登録から実際に選考が始まるまでの期間は、本人の活動ペース次第で幅がありますが、在職中であれば無理のないペースで進めることも可能です。
面談では、これまでの経歴だけでなく、転職を考えるに至った背景や、今後どうなりたいかといった希望を伝えることになります。この段階でどれだけ具体的に自分の状況を言語化できているかが、その後の求人紹介の精度にも影響しやすい部分です。
使いどころの整理
第二新卒エージェントは、判断の軸がある程度固まっている人が、情報収集と選考準備の負担を軽くするために使うと効果を発揮しやすいサービスです。逆に、判断の軸が定まらないまま「とりあえず登録してみる」形で使うと、提案された求人に流されやすくなります。
ただし「軸が固まるまで相談してはいけない」という意味ではありません。軸づくり自体を手伝ってもらう使い方もできます。その場合は、最初に「まだ応募先を決める段階ではないので、まず整理を手伝ってほしい」と伝えてください。そう言わずに登録すると、いきなり求人紹介から始まって流されます。
利用を検討する場合は、まず自分の中で「辞めたい理由」と「変えたい環境」を整理したうえで相談することをおすすめします。整理の仕方については、別記事「入社1〜3年目で転職を考え始めたら最初に整理すべきこと」でまとめています。
使い終わったあとの手続きも、先に知っておく
始め方より書かれていないのが、やめ方です。先に知っておくと気楽に始められるので、まとめておきます。
- 紹介された求人を断る——理由を詳しく説明する義務はありません。「条件を見て、今回は見送ります」で十分です。早めに、はっきり伝えるほど摩擦が少なくて済みます
- 担当者を変えてもらう——多くのサービスに窓口があります。担当者本人に言いにくければ、問い合わせフォームや代表窓口へ。理由は「相性」で構いません
- 利用をやめる——退会の手続きがあります。選考が進行中の企業がある場合は、先にその辞退を伝えてから
- 登録した情報を消す——退会と個人情報の削除は別扱いのことがあります。消したい場合は明示的に依頼してください
- 内定を急かされたら——「◯日までに回答します」と自分から期限を切る。それでも押してくるなら、その会社とその担当者の両方を疑う材料になります
第二新卒向けのサービスの一例
具体的にどこを見ればいいのか分からないという人向けに、一つ挙げておきます。第二新卒エージェントneoは、株式会社ネオキャリアが運営する20代向けの就職・転職支援サービスで、第二新卒だけでなく、既卒・フリーター・中退・高卒といった経歴の人も対象にしている点が特徴です。就職アドバイザーとの個別相談、履歴書・職務経歴書の添削、求人紹介までを無料で受けられます。
向いているのは、20代で、経歴に空白や短期離職があり、一般の中途求人では応募要件が合いにくいと感じている人。初めての転職で何から手をつけるか分からない人も対象になりますが、その場合は上に書いたとおり、最初に「まず整理から手伝ってほしい」と伝えるのが前提です。向いていないのは、30代以降の方(20代向けのサービスです)や、特定の専門職ですでに狙う企業が決まっている人です。勤務地については、希望する地域の取扱求人が十分にあるかを、登録前または初回面談で確認してください。
そして、この記事で挙げたことは、ここでもそのまま当てはまります。1社だけで決めないこと。この記事自体が「複数を比較して合う担当を見つけよう」と書いているので、ここで紹介した1社だけを見て決めるのでは筋が通りません。
比較先の探し方も書いておきます。厚生労働省の「人材サービス総合サイト」では、許可を受けた職業紹介事業者を地域や取扱職種で検索でき、就職者数などの実績も公表されています。広告と関係なく事業者を探せるので、比較の出発点に向いています。あとは「第二新卒 エージェント+自分の職種/地域」で検索して2〜3社挙げ、上の質問リストを持って面談を受けて比べてください。
エージェントは、整理を手伝ってもらう相手にはなりますが、最後に決めるのは自分です。相談してみて合わないと感じたら、そこで止めて構いません。
まとめ
- 第二新卒エージェントは、実務経験より伸びしろを見る求人を比較的多く扱う、若手向けの転職支援サービス
- メリットは非公開求人へのアクセス、書類・面接対策、条件交渉の代行
- デメリットは、紹介実績を優先した提案のリスク、扱う求人の範囲の限定、担当者との相性差
- 志望企業が明確な人や直接応募を狙う人には、必ずしも最短ルートとは限らない
- 使う前に自分の判断軸を整理しておくと、提案に流されにくくなる
エージェントは万能の解決策ではなく、あくまで選択肢の一つです。メリットとデメリットの両方を理解したうえで、自分の状況に合った使い方を選んでもらえたらと思います。